2010年4月28日
私の日本人としてのアイデンティティ?
平安時代に作られた「天王立像」
教科書で見たことありますよね?
なんと、個人蔵です!
東京に住んでいた若い頃、何故か外国人の友達が大勢できました。
フランス、アメリカ、イギリス、カナダ、スエーデン、インド、エジプト、ドイツ・・・・
いろんな国の人です。
で、その人達と話したりすると、必ず日本の事を聞いてくるんです。
茶道って?とか、着物の事とか、相撲のこととか、京都は?鎌倉は?等々・・・・・
当時の私は知らないことが多すぎて、答えに困りました。
そう、外国からいらしている人は(しかも日本に住んでいるくらいの人)は日本に興味があって来ているんですよね。
当然といえば当然なんですが・・・・
そうすると日本の事に関しては、私よりも知っていることが多いんです。
しかも自国の話になると、ホントに得意げにいろんな事を話してくれます。
「自分の国はこんなに素晴らしいんだ!」と、すべての人が自分の国の文化に対して誇りを持っていました。
私は自分の国の文化に対して誇りも持っていなければ、知りもしない・・・・
そう、私は日本人としてのアイデンティティを持っていなかったんです。
若いというだけではすまされません。恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。
で、日本の歴史の本や美術の本を買って少しは勉強しました。
同時に西洋の歴史や絵画の歴史本を買って、日本との比較もしたりしました。
そうして、日本の文化の凄さにやっと気付いたんですねえ・・・・
特に鎌倉に住んでいたときに、沢山の事を教えて頂きました。
まわりに日本画の先生や骨董商の方や、国文学の先生などがいらっしゃいました。
日本画の先生の所にお邪魔すると、なにげにお茶を点ててくださいます。
作法が分からないんですが・・・というと「おいしく飲めばいいのよぉ!!」(笑)
着物しかお持ちでない方だったので、着物の事も教えて頂きました。
袷は何月から何月まで、一重は何月から何月まで、紗は・・・・絽は・・・・
骨董商の方には骨董の見方や、良いもの悪いものの区別の付け方なども教えて頂きました。
プロしか入れない骨董の市場にもご一緒させて頂いて、
ホンモノの柿右衛門が数千万円で競り落とすのをこの目で見ました。
博物館に行かなければ見られないものを、手にとって見る事が出来ます。(怖かったぁ・・・・・(笑))
お茶も習いました。
最初はポットでちゃちゃっとお抹茶を入れて、コーヒーにする?お抹茶にする?
程度に思っていたのですが、作法にはまりました。
日本の様式美、立ち居振る舞い、花の飾り方、花の名前、道具類の素晴らしさ!・・・・
そしてなによりも素晴らしかったのが、「無」でした。
無心でお茶を点てないと、まともな立ち居振る舞いが出来ないのです。
そうなると、お茶も美味しいはずがありません。
これでは「おもてなし」が出来るはずがありません。
実は先日なかぴーのご主人と話をしていて、同じ事に気付きました。
彼は弓道を今やってらっしゃいます。
弓を引いて矢を放つのが弓道ですが、初心者の場合弓の弦が頬にばしっ!っと当たるそうです。(イタっ!(笑))
それは「無」じゃないからだと、仰いました。
上手になると何も考えずに弦を弾き、頬に弓が当たった状態で手を放しても頬に弦は当たらないそうです。
その時弦は弧を書いて、外側に回り込むそうです。不思議ですね。
何かを考えたり、当てよう!とか考えたら頬にばしっ!っと弦が当たっちゃうんですねえ。
で、この「無」になることが私にとってとても役に立ちました。
仕事で「ああでもない、こうでもない・・・」と一日中考えていると、頭がぐちゃぐちゃになります。
そんな時何も考えないで、しかも緊張した状態に置いたとき何かがふっと飛んでいく感じがします。
緊張した状態なので、そのまま又仕事に戻ることが出来ます。
茶道は動く「禅」のようなものだとなかぴーのご主人にも言ったら、彼も同意してくれました。
緊張感と無。
こんな日本の精神の美しさから産まれた日本の芸術の素晴らしさは、世界に誇れるものだとつくづく思います。
この年になってやっと、私も日本人としてのアイデンティティを持てたでしょうか?
いえいえ、まだまだでしょう。
もっともっと、沢山の勉強をしたいと思います。
普段はパソコンだ、ファッションだと毎日を過ごしていますが、時々は日本の素晴らしい文化に浸るのもいいですね。
ということで、続く・・・・・です。(笑)
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思い起こせば、私も高校の三年間、弓道部でした!今ではすっかりご無沙汰。始めたころは「ばあちゃんになってもできるよね」でしたのに・・。アーチェリーの弓は、持ち手が真ん中にありますが、日本の弓は上から3分の2あたりに持ち手があります。長さも自分の身長よりはるかに長いので、見た目も優雅そのもの。弦は弧を描いて回転し、矢が飛んでいくんですねー。こんな弓を考えた日本人ってすごい!その分的中率は下がりますが「無」のこころが大切になる。うーん、日本文化、自分も年齢を重ねるとどんどん好きになります!
返信削除>hanss
返信削除>>日本刀の鍔です。蛾やカマキリが草むらに隠れています。
本当に細かいんですよね!小さな鍔の中に、別世界があるような。。それにしても、細やかな!
>>茶道は動く「禅」のようなものだとなかぴーのご主人にも言ったら、彼も同意してくれました。
緊張感と無。
そう言う意味では、弓道も動く禅に近いんですかね。
「無」を求める価値観とは、改めて日本人を考えさられますね、
>sonomi
>>思い起こせば、私も高校の三年間、弓道部でした!
おお、懐かしい!(笑)
でも年齢を経た今から、また復活するのも素敵かもね。