2009年12月8日

響ホールに行ってきました。


12月4日、ピアノの古賀千恵さんとバリトン歌手の横山浩平さんのジョイントリサイタルに行ってきました。
北九州に帰ってきてなかなかコンサートなどに行く機会がないのですが、一度行ってみたいと思っていたのがこの響ホールです。
北九州では一番音の良いホールだと聞いていました。
今回リサイタルを聴いてみて納得しました。
音もスコンと上に抜けて会場全体にきめ細かい音を響かせます。
ただハコが小さいのでオーケストラなどの公演は無理です。
室内楽や、今回のリサイタルのような公演にはとても適しているいいホールでした。



で、肝心のピアノの古賀千恵さんと横山浩平さんのリサイタル・・・・・
古賀千恵さんのピアノは本当に美しい弾き方で、とても良かったと思いました。
ドビュッシーの「夢」や「月の光」などはとても繊細で、彼女の弾き方にピッタリだと思いました。
でも私が一番聴きたかったのが、プロコフィエフのピアノソナタ。
これは聴いたことがない曲でした。
プロコフィエフではバレー音楽の「ロミオとジュリエット」が私の大好きな楽曲です。
あの大胆な曲の出だしや、終曲に至るまでのダイナミックさは涙なくしては聴けません。(笑)
音楽を聴いただけでバレーのシーンを思い出すくらいに、強烈な印象があります。
で、古賀千恵さんのピアノはとても繊細なのですが、いまいちプロコフィエフらしさに欠けるような気がしました。
プロコフィエフのあのダイナミックさや不快とも感じさせる音の重ね合わせは、
彼女の繊細で柔らかい弾き方では少し物足りなかったような気がします。
あともう一曲。
ショパンは、多分彼女の本領を発揮するような作曲家だと思います。
アンコールで弾いた幻想即興曲は、本当に素敵な演奏でした。
が、やはりこれもあまりショパンらしくない曲の「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」
を弾いたときもプロコフィエフと同じでした。
大胆さにどうしても欠けるような気がしてしまいました。
たとえミスタッチをしてでも、もっとガンガン弾いて欲しかったです。
繊細で柔らかい曲を弾く彼女の演奏は、本当に美しく聴衆を酔わせます。
が、大胆でダイナミックな曲になると少し物足りなく思ったのは私だけでしょうか?
4月頃にモーツアルトを北九州交響楽団と演奏なさるとのこと。
これはとても期待できるのでは?と今から楽しみにしています。
時間が合えば、必ず行きたいと思います。

バリトン歌手の横山浩平さんは、昨年の今頃にもリサイタルをなさいました。
今回は、約一年後に聴く彼の唄です。
ドイツ歌曲が得意だと仰る彼ですが、今回の一番はロッシーニの「セヴィリアの理髪師」です。
去年もリサイタルで聴いたのですが、今回は一段と艶が増したような素晴らしい歌唱でした。
演技力も出てきて聴くだけではなく、見ていても楽しい一曲でした。
昨年よりもう~~~~んと上手くなって、観客を大いに沸かせました。
ドイツ歌曲も確かにいいのですが、観客を楽しませて巻き込むほどの魅力はどうしてもないんですね。
(これは、とても私的な意見ですが・・・・・)
私のようなただの音楽好きがコンサートに行く目的は、演奏者との一体感を味わいたくて行く場合が多いのが本音です。
重いドイツ歌曲もそれなりにいいのですが、なかなか一体感には繋がりにくいような気がします。
一体感と言えば・・・・
どうしても分からない事が、一つあります。
こういうリサイタルでよくある事なのですが、日本の曲が必ず入るんですね。
私は決して日本の歌曲が嫌いではありません。今回の赤とんぼや宵待草も決して嫌いではありません。
が、私は退屈なんです。(ワガママ?(笑))
日本の歌曲は一つの音符に一つの文字しか乗りません。外国の唄は一つの音符に一つの単語が乗ります。
多分そこが私にとっては、退屈になっちゃうと思うんです。
いい唄だとは思います。でもなぜ日本の歌曲を入れるのでしょう?
聴衆が日本人だから?日本の歌曲を入れれば一体感が生まれる?
私には分かりません。他の方達は「いいなあ・・・」と思って聴いていらっしゃると思います。
でも、私は退屈なんです。(ワガママ!(笑))
耳だけではなく目でも楽しめる楽曲を、もっと沢山プログラムに入れて欲しいなあ・・・とつくづく思いました。
彼は来年から音大の大学院へ進むそうです。しかもオペラを学ぶと聞いています。
オペラを学ぶことで歌曲とは違う「演技」を勉強して欲しいと思います。
「演技」と書いてしまったらまるで役者のように思われるかも知れませんが、
私がいう「演技」とはそういうことではありません。人の痛みや悲しみ、人をいとおしむ気持ちや愛する気持ち・・・・
そんな人としての根本みたいなものを持ち合わせてこそ、聴衆を説得出来ると私は信じています。
まだ彼は若い!(笑)
もっと人を愛して、傷ついて・・・・そうして人の痛みが分かると、きっと聴衆を魅了する事が出来るでしょう。
その時はドイツ歌曲も日本の歌曲も関係なく、聴く人の心を打つ歌唱になると私は信じています。
いつか又、彼のリサイタルを聴くのを楽しみにしています。
どうか音大で、いえ東京で、いえ日本でご自分のキャパを目一杯広げてきて欲しいと思います。
そしてリサイタルの中に日本の歌曲が入っていても、どうか!退屈させないで下さいね!(笑)

追記
今回のリサイタルの感想は、私のとても個人的な考えです。
リサイタルをお聴きになった方には、そうじゃない!とお考えの方も沢山いらっしゃると思います。
でも、ここで書く事の基本は「私」です。
ワガママです。(笑)勝手です。(笑)
ご気分を損ねた方には申し訳ございません。
でも、もう一つ。
私は今回のお二人のファンになりました。(笑)
私は自分に甘い、人に厳しいいい加減な人間です。(笑)
このリサイタルにいらっしゃらなかった方・・・・・
私のこのエントリーを見て、「そうなんだぁ・・・」なんて納得しないで下さいね!!
あくまでも、個人的な意見にしか過ぎません。
でも是非!是非!お二人の演奏を、機会があったら聴いて欲しいと思います。
今回のリサイタルの間に、古賀千恵さんが仰いました。
「文化的にあまり高くない北九州でも、こうして頑張ってる演奏家がいるのを知って欲しい」と。
私も同感です。
北九州の文化レベルは、非常に低いと私は常々思っています。
でも、こうして素晴らしい音楽の体験をすると「ホントに文化レベルの高い人もいるんだなあ・・・」と、思い直します。
クラッシックを敬遠なさっている方、是非!是非!次のこのお二人の演奏はお聴き逃しなく!
心がちょっと太っちょになること、受け合います!(笑)

もいっちょ追記(笑)
「クラッシックを聴けば、文化レベルが高くなる」訳ではありません。
これ(文化レベル)に関しては一悶着ありそうなので、別の機会にエントリーしようと思います。

1 件のコメント:

  1. すごい。個人的な意見とはいえ、これだけ分析して理論的に説明できるって、しかも長文(笑)。
    でも、きっとこれを読まれた方は、お二人の音楽に興味がわくのでは?
    私もぜひ機会があったら聴いてみたいと思いました。
    そして、それ以外のクラシックも、ぜひ。

    それにしても、「響ホール」って、名前がいいですね!
    玄界灘?ですよね。
    ホールの名前を聞くだけでも、ちょっと行ってみたくなりますね。

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